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2021.04.16

日本の相対的貧困率は先進国35カ国の中ワースト7! 決して他人事ではない「人や国の不平等」【SDGs10】

不平等はそれぞれの国の国内にも、そして国と国の間にもあります。目標10「人や国の不平等をなくそう」では、国内や国家の間にある不平等の解消がテーマ。私たちにできることはなんでしょうか。

日本にある不平等

目標10のテーマは「国内および国家間の格差を是正する」です。国内のこと、世界のこと、どちらにも目を向ける必要があるということですね。

まずひとつ目の、自国にある不平等について考えてみましょう。日本は世界の中でみれば、格差の少ない国では? と感じるかもしれませんが、実は所得の格差は広がっています。

「相対的貧困率」という言葉を聞いたことがあるかと思います。相対的貧困率は、収入から税金や社会保険料などを引いた所得が、全体水準の半分に満たない人の割合を指します。日本の相対的貧困率は15.7%とされ、なんと6人に1人が相対的な貧困に苦しんでいることに。

2017年に発表されたOECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本の相対的貧困率は先進国35カ国の中で、ワースト7であるということがわかっています。中でもひとり親家庭の相対的貧困率は50.8%とされ、主要国の中ではワースト1。これはとても深刻な状態です。

このように私たちの身のまわりにも格差は存在し、決して他人事ではありません。所得の格差だけでなく、男性と女性の間にある格差、健常な人と障害のある人の間にある格差、地域や年齢などを原因とする格差など、不平等は私たちの身近なところにあるのです。

国家間の格差

国家間の格差に目を向けても、最も大きな問題とされているのはやはり所得の不平等です。20%の最も貧しい地域の世帯の子どもは依然として、20%の最富裕層の子どもに比べ、5歳の誕生日を迎える前に死亡する確率が3倍も高いとされています。(※1)

※1 https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31591/

では、最も貧しい地域とは、具体的にどこを指すのでしょうか。SDGsのターゲットにおいて、次の3地域を示しています。

1つ目は、後発開発途上国(LDCs)です。開発途上国の中でもとくに経済的な発展が立ち遅れている国々のことで、国内で内戦が起きていて、政治的に不安定な国がほとんど。アフリカやアジア、オセアニア、中南米など世界各地に存在しますが、その半分以上はアフリカに集中しています。アフリカの中でも、サハラ砂漠より南にある国々、サブサハラ・アフリカと呼ばれる地域です。

2つ目は、内陸開発途上国(LLDCs)です。国土が海から遠いために輸送コストが高く、開発にあたり不利な条件を抱えている国々のこと。こちらもほとんどがアフリカ諸国ですが、アジアやヨーロッパ、中南米の国々も含まれています。

3つ目は、小島嶼開発途上国(SIDS)です。太平洋やインド洋、西インド諸島などにある小さな国々です。国土がとても狭く海面上昇の影響も受けやすく、自然災害に見舞われることの多い島国を指します。

SDGsでは、目標達成のための具体的な指標として、上記のような国々への支援を呼びかけています。

途上国のために、私たちができること

こうした途上国のために、私たちができることはなんでしょうか? 個人ができることは限られているとはいえ、身近なところではフェアトレードに参加してみることなどが挙げられます。

フェアトレードとは、開発途上国に配慮した貿易の仕組みです。開発途上国の原料や製品を適正な価格で購入して、開発途上国でものを作っている人や、労働している人たちの生活改善や自立を支援する、というもの。国家間の不平等を解消し、開発途上国を守るための仕組みであり、フェアトレードの運動は世界で広がり続けています。

フェアトレードを必要としているのはコーヒー豆やカカオが大半です。そのため製品はコーヒーやチョコレートなどが多いですが、他にもバナナやスパイス、砂糖やジャムなどいろいろな認証製品があります。フェアトレード認証製品をお店で見かけたら、購入してみるのもいいでしょう。普段の買い物で選ぶものを変えるだけで、途上国の生産者を支援できます。

「人や国の不平等をなくす」を目指す10の目標(ターゲット)とは?

Infographic, goal 10
unstats.un.org

目標10のターゲットは以下の通りです。

1. 2030年までに、各国の所得下位40%の人々の所得の伸び率を、国内平均を上回る数値で着実に達成し維持する

2. 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、経済的地位やその他の状況にかかわらず、すべての人々に社会的・経済的・政治的に排除されず参画できる力を与え、その参画を推進する。
3. 差別的な法律や政策、慣行を撤廃し、関連する適切な立法や政策、行動を推進することによって、機会均等を確実にし、結果の不平等を減らす。
4. 財政、賃金、社会保障政策といった政策を重点的に導入し、さらなる平等を着実に達成する。
5. 世界の金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
6. より効果的で信頼でき、説明責任のある正当な制度を実現するため、地球規模の経済および金融に関する国際機関での意思決定における開発途上国の参加や発言力を強める。
7. 計画的でよく管理された移住政策の実施などにより、秩序のとれた、安全かつ正規の、責任ある移住や人の移動を促進する。
a. 世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、とくに後発開発途上国に対して「特別かつ異なる待遇(S&D)」の原則を適用する。
b. 各国の国家計画やプログラムに従って、ニーズが最も大きい国々、とくに後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国、内陸開発途上国に対し、政府開発援助(ODA)や海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
c. 2030年までに、移民による送金のコストを3%未満に引き下げ、コストが5%を超える送金経路を完全になくす。

目標10「人や国の不平等をなくそう」では、主に経済的な格差についての目標が示されていますが、目標10は目標1「貧困をなくそう」、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とも密接なつながりがあります。

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