Column
2020年以降、SDGsという言葉を見たり聞いたりする機会が非常に多くなってきました。SDGsは、国連が定めた「持続可能な開発のための国際目標」。そんなSDGs関連のWebサイトを3つ紹介します。
SDGsは、2030年までに達成することを目指していますが、その期限まで10年を切ったこともあり、SDGsについての認知が進んでいない日本でも、「SDGs」という言葉だけは徐々に浸透しつつあります。
しかしながら、「SDGsには17の世界的目標、169の達成基準、232の指標がある」などと言われると、「たくさん覚えられないし、わからないよ」となって、「よくわからないけれど、地球のために大切なことでしょ」ぐらいの認識で、思考を停止してしまう人も多いのではないでしょうか。
大切なことだけれどもモヤっとしかわからないSDGs。しかし、いろいろな角度から眺めれば、さらに理解が深まるはず。
今回は、SDGsを真正面からだけではなく、横から、下から、斜めから知ることができる、SDGs関連Webサイトを3つ紹介します。いろいろな角度から眺めれば、さらに具体的に、そして身近にSDGsを感じられるはず。まずは、一番気になるWebサイトから読んでみてください。
※2019年8月付で、SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドラインが改定されました。※よくある質問(FAQ)を2020年7月に追加しました。≫ SDGs…
www.unic.or.jp
国連事務局 グローバル・コミュニケーション局
SDGsの総本山ともいうべき国際連合の広報サイトなので、ここはまず押さえておきたいところ。国連の活動全般の情報を発信していますが、SDGsについてもたくさんのコンテンツが掲載されています。
それらのコンテンツへの入り口となるのがこの「2030アジェンダ」です。膨大な情報が掲載されていますが、わたしのおススメのコンテンツを3つ紹介しましょう。
その1:SDGsのロゴとその使用ガイドライン
SDGsロゴおよびアイコンの使用に関する許諾申請や問い合わせは国連本部(ニューヨーク)が一括して対応しています。ロゴやアイコンの使用にあたっては、下記ガイドライ…
www.unic.or.jp
SDGsについての情報発信で必ず目にするのが17の目標のアイコン。あのアイコンがすべて揃って並んでいて、そのほかにも、ひとつずつ個別のものや、カラーが反転したもの、白黒のものなど、いろいろなタイプがあるんですね。それらの画像がダウンロードできるのがこちらのページです。この画像を使う際に守らなければならないガイドラインの日本語解説書もダウンロードできます。
その2:国連を映像で学ぶ>持続可能な開発
www.unic.or.jp
映像は文字の5000倍の情報量があると言われています。映像コンテンツは、SDGsをわかりやすく知るのに最適です。
さまざまな映像コンテンツが掲載されていて、どれも興味深いのですが、私のおススメは「キティちゃん」。あのハローキティが、国連とタッグを組んで楽しくわかりやすい動画でさまざまなSDGs活動を紹介しています。
この動画から「#helloglobalgoals」のタグでたくさんのハローキティSDGs動画を閲覧できます。キティちゃんがヨルダンやインドネシアなど、世界を訪ねてそれぞれの地でのSDGs活動をレポートしています。日本では渋谷区に行ったりしていますよ。
その3:SDGs報告2020
概要≫ 印刷用PDFはこちら
www.unic.or.jp
SDGsの17の世界的目標について、2016年以降の全般的な状況を一目で確認できるのがこのSDGs報告です。包括的に情報を把握できるので、世界の持続可能性に対する現状を知るのにとてもよいコンテンツです。
ただ、多くの目標について、状況は改善どころか悪化しているものがたくさんあるので、SDGsの道のりの厳しさを知ることにもなります。新型コロナ禍が経済や医療に打撃を与えたことを再確認しましたが、温室効果ガス排出量が減少するなど、改善されたこともわずかながらあり、SDGs推進を考えるきっかけにしたいレポートです。
「わたしたちが創る未来」として,子供たちに向けて17の目標の内容を分かりやすく解説するとともに,企業等の具体的な取り組みを紹介しています。
sdgs.edutown.jp
東京書籍株式会社
教科書を作っている東京書籍が小中学生向けにSDGsを解説しているWebサイト。子ども向けなので、漢字にフリガナがふってあり、内容も平易な表現になっていてわかりやすいです。積水化学グループをはじめ、誰もが知っている身近な企業のSDGsへの取り組みの事例が多数掲載されていて、大人も子どもも楽しめて勉強になるコンテンツがいっぱいあります。
その中で、私のおススメは次の3つです。
その1:SDGsカード>積水化学グループの製品カード
「わたしたちが創る未来」として,子供たちに向けて17の目標の内容を分かりやすく解説するとともに,企業等の具体的な取り組みを紹介しています。
sdgs.edutown.jp
積水化学部ループは多種多様な製品を開発していますが、そんなものを作っているの?というものがたくさんあります。一般消費者が目にしないところで頑張っている企業があることを知ることで、仕事の多様性について子どもと話すきっかけになります。
そして、その仕事を通じてSDGsについて考える力をつけられる仕掛けも用意されています。
その2:まちづくりバーチャル見学
「わたしたちが創る未来」として,子供たちに向けて17の目標の内容を分かりやすく解説するとともに,企業等の具体的な取り組みを紹介しています。
sdgs.edutown.jp
まちづくりのなかでも非常に重要でありながら、街に住んでいる私たちがほとんど意識することがないのが、水道管、電線管、雨水管などの地中に埋まっている設備、いわゆるインフラです。17の世界目標のひとつ「11 住み続けられるまちづくりを」に関連したコンテンツですが、私たちが知らないところで、こんな工夫がされているから、安心・安全・快適に住めるんだ、ということを発見できます。
360度パノラマ写真や、設備を敷設するところの動画など、見ごたえのある映像も豊富で、まさに「バーチャル見学」と言える内容です。
その3:SDGs取り組み事例
「わたしたちが創る未来」として,子供たちに向けて17の目標の内容を分かりやすく解説するとともに,企業等の具体的な取り組みを紹介しています。
sdgs.edutown.jp
キリンやトヨタ、ユニクロなど、誰でも知っている企業のSDGsへの取り組み事例を紹介するコンテンツですが、子どもたち向けなので非常にわかりやすい内容になっているのがよいです。
日本人なら一度は飲んだことがあるといってもよい「午後の紅茶」の茶葉はスリランカ産だったんですね。そして、スリランカの紅茶農家に「持続可能な農業」について支援を行っているのがキリンホールディングス。午後の紅茶の年間販売数は13億本だそうです。
この日本一売れている紅茶飲料を将来にわたって高品質に安定して供給するためには、スリランカの紅茶農業が「持続可能」であることが重要。SDGsは単なる「きれいごと」ではなく、企業が存続していくためにも実現しなければならない、ということがよくわかるコンテンツです。
「社会や環境がよくなって、そしておもしろい」をテーマとした未来をつくるSDGsマガジン『ソトコト』のオンラインメディア。本誌の記事のほか、Web版オリジナルの記事も公開。
sotokoto-online.jp
株式会社sotokoto online
「ソトコト」とは、アフリカのバンツー族のことばで「木の下」という意味だそうです。木陰でいろいろなことを話し合って、未来につながる知恵を生み出そう、という思いが込めて雑誌『ソトコト』は1999年に創刊。扱うテーマは「スローライフ」「ロハス」「ローカル」など、社会と環境をよくすることを考えるきっかけとなる情報を伝え続けています。
雑誌「ソトコト」は隔月刊として発売中ですが、さらに情報をひろめたいという思いで2019年にスタートしたのが「未来をつくるSDGsマガジン sotokoto online」。雑誌「ソトコト」の記事の転載のほか、オリジナルコンテンツも多数配信しています。
「SDGsマガジン」というショルダーですが、「SDGsとは?」「SDGsの○○で社会貢献」というような大上段に構えたコンテンツではなく、日々のくらし、地方の魅力、エコな製品など、人の生活に寄り添った視点からの記事が多くて、とても親しみやすく読めます。
「へえっ!こんな人がいるの!」「こんな製品があるの!」そんなふうに驚きながら、楽しく読んでいるうちに、自然にSDGsな生き方を体感できます。
そんなsotokoto onlineの豊富な記事の中から、私のおススメを3つ紹介します。
その1:人気ファッションブランド SNIDELが切り開く、SDGsなモノ作り
SDGsを毎日の生活の中で子供たちにできるだけ簡単に、わかりやすく伝えていこう!と、2030年を生きる未来の子供たちをテーマにした連載「サステナnote 子育て編」。連載第5回は【SDGsの項目12/つくる責任つかう責任】をテーマに。長らくファッション=ワンシーズンで消費という考えが主流でした。そんなファッション業界でいち早くリアルファーの廃止、ショップバッグをはじめとする様々な店舗資材のサステナブル素材への切り替えなどサステナブルな取り組みをおこなっていった「マッシュスタイルラボ」。その…
sotokoto-online.jp
SNIDEL(スナイデル)は、大人女子に人気のファッションブランド。「ファッション」といえばその名の通り「流行」を作るのが仕事ですから、「今年の流行」を作ってどんどんと服を買い替えさせる、というイメージがあります。しかし、これからは流行とサスティナブルを両立させているブランドが選ばれる時代になりつつある、という記事。
毛皮の使用をやめてエコファーに切り替えたり、ショッパー(ショップバッグ)をビニールから紙の素材にしたり、店舗の80%をサスティナブルな素材で作ったり。その取り組みが志望動機の一つと語る入社希望者が増えているという話に、若い世代にとって、SDGsが「じぶんごと」であるということを感じました。
その2:”もったいない野菜”を使った一期一会の『はたけのカレーペースト』が登場 フードロス削減に貢献
sotokoto-online.jp
スーパーの野菜コーナーには、まるで工業製品のような色も形も整った野菜が並んでいます。しかしその裏で、「規格外」と称して廃棄されてしまう野菜がたくさんあります。このフードロスの削減に取り組んでいるのがファームキャニング。不揃いであろうと不細工であろうと、うまく使えばすばらしい食べ物として活かせることに気付かせてくれる記事です。
日本のフードロスの45%は家庭からの廃棄分。野菜を無駄なく使うことは、家庭単位で考えていくべき問題なのですね。
その3:立ち返る場所をもつこと
sotokoto-online.jp
SDGsとは直接関係なさそうな、山伏の人が書いている記事なのですが、このタイトルの通り、誰もが自分の軸足のようなものをもつべきだなと思わせてくれるコンテンツです。山伏から宇多田ヒカルにつながっている、などというのも日本の文化と歴史の壮大さを感じさせてくれます。
この日本をずっと守り続けるには、持続可能な開発が大事。そんな決心を新たにさせてくれる良記事です。